森内貴寛（Taka・タカとして知られる）は、日本のロックバンド・ONE OK ROCKのリードボーカリストである。1988年4月17日、東京都に生まれ、著名な日本の歌手・森昌子と森進一の長男である。

弟が2人おり、長弟の智宏はテレビ東京に勤務し、次弟のHiroはバンド「MY FIRST STORY」のボーカリストを務めている。義妹はモデル兼女優の山本舞香。

Takaは慶應義塾幼稚舎を2001年3月に卒業し、引き続き慶應義塾中等部へ進学した。その後、慶應義塾高等学校に進学したが、2005年3月に音楽の道を志して中退。この決断は当初、両親の反対に遭った。2005年4月に両親が離婚したことをきっかけに、父方の「森内」姓から母方の「森田」姓に改姓した。しかし2012年には、「森内」の姓を再び使用していることが、インタビューやバンドメンバーと共に本名を公開した写真などから明らかになっている。

Takaの音楽活動は13歳のとき、2001年にジャニーズ事務所に入所したことから始まる。2003年9月、アイドルグループ「NEWS」のメンバーに選ばれ、11月7日に「NEWSニッポン」でデビュー。この曲は2003年のバレーボールワールドカップのテーマソングでもあった。同年12月、グループおよび事務所を退所。

2004年には一時的にカバーバンド「Chivalry of Music」に参加。

2005年、ギタリストの山下亨（Toru）に誘われ、「ONE OK ROCK」にリードボーカリストとして加入。バンドは2006年にインディーズCDをリリースし、その後アミューズと契約。2007年にメジャーデビューを果たす。Takaのリーダーシップの下、ONE OK ROCKは日本国内のみならず、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、南米など、世界中でツアーを行っている。

Takaの性格は、野心的で正直、短気で頑固、そして遊び心があると評されている。情熱的な気質を持ち、特にTomoyaをよくからかうなど、バンドメンバーと親しい関係を築いている。衝動的な一面があるものの、真のつながりを重視しており、メンバーを家族のように大切にしている。

2024年7月2日のInstagramライブでは、Taka自身がパニック障害を抱えていることを告白。動悸、発汗、不安などの症状に苦しんでいることを共有し、同じような苦しみを抱える人々への理解と支援の重要性を訴えた。

Takaの歌唱力は、広くダイナミックな音域、滑らかな声区移動、感情豊かな表現力、そして力強い声量で知られている。彼は現在の音楽シーンにおいて最も訓練されたロックボーカリストの一人とされている。高音域のテノールボイスにより、長時間高音を維持することができ、優れたブレスコントロールと多様性を誇る。

ONE OK ROCKのメイン作詞・作曲者であるTakaは、自身の経験や感情を基に楽曲を制作し、聴き手との深い繋がりを目指している。流暢ではないながらも英語で歌詞を書くことが多く、世界中のリスナーに届けたいという強い意志が表れている。アルバム『Nicheシンドローム』に収録された「Nobody's Home」は、両親への謝罪と感謝の気持ちを表現した楽曲であり、複数の公演で披露された。特に感情的なパフォーマンスとなったのが、ONE OK ROCK 2013「人生×君=」TOURの横浜アリーナ公演（2013年5月26日）で、Takaの両親が会場に来ていた日である。公式ライブDVDは前日（5月25日）に収録されたが、両親を前にしたTakaの想いのこもった歌唱は『ONE OK ROCK 2013 "人生×君=" FILM』にて一部収録されている。

これまでTakaは自身の個人的な経験に基づいた作詞が中心であったが、2025年のアルバム「DETOX」では政治的なテーマにも踏み込んでいる。楽曲「Delusion:All」では、社会・政治体制への幻滅と懐疑が描かれ、世界の現状に対するメッセージ性が強い。この変化は、平和や政治意識の大切さを音楽を通して伝えようとするTakaとバンドの姿勢を示している。

TakaのボーカルレンジはG♯2からG♯5までの3オクターブにわたり、低音から高音まで自在に操ることができる。このレンジの広さはロックボーカリストとして非常に優れており、単に高音を出せるだけでなく、感情と力強さを伴って表現できることが特徴。ONE OK ROCKの20年に及ぶキャリアを通じて、Takaは様々な楽曲でその柔軟性と成長を見せてきた。

バンド初期からTakaの高音テノールボイスは顕著であり、4～5オクターブ前半の高音を自在に歌い上げていた。例えば2008年のアルバム「感情エフェクト」では、F♯5まで到達している。

2013年の「人生×僕=」では、音域の下限をG♯2まで拡張。「Nothing Helps」などで低音域への挑戦が見られ、サウンドに深みが加わった。

近年のアルバムでも、Takaはその広い音域を活かし続けている。2017年のアルバム『Ambitions』では、「We Are」などの楽曲でG♯5の高音域を披露し、彼の高音域における表現力が際立っている。低音から高音への滑らかな移行は、Takaのボーカルスタイルの特徴となっている。

2025年のアルバム『DETOX』でも、Takaの卓越した歌唱力は健在。「Delusion:All」は、成熟したインストゥルメンタルアレンジとTakaの印象的なボーカルが際立つ楽曲であり、彼の成長し続ける表現力が感じられる。一部ではG♯5を超える音域に達しているという確証はないが、その歌唱は引き続き力強く、より繊細かつ感情のこもった表現が目立つ内容となっており、アーティストとしての深化とコントロール力を示している。

ライブにおいても、Takaはその実力を余すことなく発揮している。優れた呼吸コントロールとスタミナにより、力強いロングトーンを持続しつつ、エネルギッシュなステージングを可能にしている。年を重ねるごとに生歌の精度と迫力は増し、初期に比べて明らかな成長が見られる。

キャリアを通じて、Takaはより多くのディストーション（歪み）やグリット（がなり声）を取り入れるようになった。これにより、歌声に感情的な深みや迫力が加わった。「Deeper Deeper」や「Take What You Want」などでは、あえてラフな声を使い、感情の起伏を表現している。

Takaのボーカルスタイル、音域、強みを解説。ライブからスタジオ音源まで、彼の声を特徴づける要素を紹介。

ONE OK ROCKとしてのTakaのボーカルの歩みは、常に成長と探求を続けてきた軌跡でもある。広い音域を自在に操る力と、感情を込めた表現、そして進化し続けるスタイルが、ロックジャンルにおける多才で力強いボーカリストとしての評価を確立している。

音域の広さ、持久力、ライブでの安定感、スタイルの多様性といった要素の組み合わせが、Takaを日本国内のみならず世界的にも際立たせている。彼は、感情と音域の両方を兼ね備えたボーカリストとして、チェスター・ベニントンやブルーノ・マーズと比較されることもある。